馬鹿の意味を勘違いしていませんか?橘玲「バカが多いのには理由がある」を要約してみた

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はじめに

本日は橘玲著作の「バカが多いのには理由がある」を要約していきます。

衝撃的なタイトルの本書ですが、そのロジックの積み上げ方には非常に感銘を受ける部分があります。バカという強い言葉に惑わされず最後までご覧いただき、その主張の意図を汲み取って頂けたらと思います。

本書で言う「バカ」とは、「ファスト思考」しかできない人もことです。

それに対して賢い人は訓練によって「スロー思考」が身についている人のことです。いきなりファストだスローだ言われても訳がわからないと思いますので、詳しく説明していきたいと思います。

ファスト思考とスロー思考

皆さんは行動経済学という学問はご存知でしょうか?最近では認知度が高まってきている学問ですが、この学問は経済学に心理学を導入したものであり、それによって人間の行動の『癖』を解明していく学問です。

その癖の1つが「思考の癖」であり、人は思考するときに「ファスト」つまり早い思考と、「スロー」つまり遅い思考を使い分けているのです。

早い思考と遅い思考と言われてもイメージが湧かないかも知れませんので、もっと私たちが日常で使っている言葉で言いかえてみましょう。

早い思考は直感的な思考のことで、遅い思考は論理的で合理的な思考のことです。

早い思考は物事に対してすぐに答えを出すことが出来ますし、心理学の用語で言うなら「認知負荷が低い」つまり楽に簡単に物事を考えることができて快適なのです。

それに対しスロー思考は、直感で解くことができない問題に遭遇したときに私たちは用います。このスロー思考は認知負荷が高く疲れます。そのため人は考える際、無意識にスロー思考を避ける癖があります。

ファスト思考とスロー思考の例として、1つ問題を出しましょう。

バッドとボールの合計金額が1万1000円で、バッドはボールより1万円高いです。ボールの値段はいくらでしょう?

1000円と即答してしまったあなたは、この問題をファスト思考で解いています。ボールの値段が1000円の場合は、バッドの値段はそれよりも1万円高い11,000円になります。つまり合計金額が1万2000円になってしまいます。

正解は「ボールが500円、バッドが1万500円」です。ゆっくり考えれば誰にでも分かる問題ですが、すぐに答えを出すとなると間違った人も多いと思います。

このように人は「直感で考えるファスト思考」と「合理的に考えるスロー思考」を使い分けて思考しています。

しかし本来であればスロー思考を使って考えるべきことを、ファスト思考を使って考えてしまう「ファスト思考しか使えない人間」がいます。本書ではこの人をバカと定義しています。

ファスト思考の危険性

ファスト思考しか使えない人間は、「複雑な掛け算の問題を解け」と言われれば、「電卓があるんだからどうでもいい」とスロー思考が必要な負荷のかかる問題を無視してしまったり、微分積分を学んでいるときに「私の人生でこんなものを使わないからどうでもいい」と避けてしまいます。

これだけなら個人の問題なのですが、問題なのはスロー思考で答えを出すべき問題に対して、簡単で楽なファスト思考のみを使って答えを出してしまい、「その答えを正しい」と信じてしまう点、つまり直感が全てだと信じ込んでしまう点にあります。

例えばアフリカのある地域では「処女と性行為をすればエイズの呪いが解ける」と広く信じられていて、今も多数の少女が犠牲になってしまっています。

皆が「エイズの治療法なんて分からないし、私の人生に関係ないから興味がないよ」という立場なら犠牲者はでませんが、この民族のように「治療法が確立されていないエイズは、恐ろしく強烈な呪いだ。その呪いを解くための呪術によってエイズは回復するんだ」と直感的に思い込んでしまったせいで、数多くの犠牲が出ているから質が悪いのです。

本来であれば因果関係がないことに、「直感的に」無理やり因果関係を作り出してしまうことが問題なのです。

もし王様が死んだ翌日に雨が降って干ばつが解決したとしても、「王様が死ぬこと」と「翌日に雨が降ること」には何の因果関係もないことです。しかしファスト思考の人は「次に干ばつが起こったら王様を殺す」という考えに至るかもしれません。

なぜなら「王様が死ねば、翌日に雨が降るかもしれないじゃん」という直感に取り憑かれているからです。スロー思考が苦手で直感を信じるファスト思考の人は、「自分が正しいと感じたことだけが正しい」と愚直に信じてしまうのです。

ここまでの話をまとめておきましょう。

この本書で紹介されている「バカ」の定義は、ファスト思考しか使えない人、つまりどんな場合でも直感に頼ってしまう人のことであり、そういった人の問題点はあらゆる事柄に対して原因と結果が1対1で対応していると考えることにあります。

「結果が雨が降る、原因が王様が死ぬ」「結果が薬でも治らない病、原因が呪い」という形で、1対1で紐付けてしまのです。

本来であれば複雑な要因が絡み合って結果が表れるはずなのに、そこを1対1で考えてしまうこと問題があります。

ファスト思考の歴史

このように誤った回答を導きやすいファスト思考を、なぜ私たちは使ってしまうのでしょうか?その理由を橘玲氏は進化論を使って説明します。

私たちの思考や感情は200万年以上続いた旧石器時代に作られてから変わっておらず、旧石器時代の厳しい環境に最適化された思考がファスト思考なのです。

茂みで物音がした時に「それが何の音だろう」とスロー思考を使って考えていたら、飛び出して来たライオンに食べられてしまいます。

だからこそ直感を信じて逃げ出したファスト思考の持ち主が子孫を残すことができ、その子孫が私たちだという訳です。

しかし生き延びる上で重要であったファスト思考が、今の文明が発達し複雑化した社会では、誤った認識を生んでしまう場面が多くなっています。

例えば相対性理論がその最たる例です。相対性理論は光の速さに近づくと時間や空間が歪むことを予測しています。これは明らかに直感に反する現象で直感で理解することは不可能なため、 ファスト思考しか持たない人はこの考えを受け入れることができません。

ここまでの話を聞いて「直感にしか頼れない人ってバカだな。俺はいつも論理的に考えているぜ」と思った人もいるかもしれませんが、それはあなた自身の脳に騙されているだけかもしれません。

なぜなら脳は直感的な判断を「後付け」で合理化してしまう癖を持っているからです。

あなたは自分では論理的に考えているつもりかもしれませんが、もしかしたらその論理は他の人から見たら論理として成り立っていない直感的な判断で、論理にみえる理由を後付けしてるだけかもしれません。

そしてそれは仕方がないことです。地球が誕生してから今までを1年間として考えると、エジプトやメソポタミアに最初の人類最初の文明が誕生してからわずか30秒しか経っていません。

スロー思考はこの最後の30秒で初めて必要になった思考方法で、人は今も生活の99%以上をファスト思考で済ませています。

だから人は皆ファスト思考に偏ったバカなのだと理解してほしいのです。

スロー思考も使えるバカになれ

誰もがファスト思考に偏っているのですが、その中でも負荷が高いスロー思考を「徹底的に避けてしまっている人」と、スロー思考を「使うべき場面で使える人」がいます。

私たちはみんなバカだけれど、その上でスロー思考を使えるバカにならなくてはならないのです。

そのために大切なことが2つあります。

スロー思考を使うために大切なこと①【自分がバカだと受け入れる】

人はファスト思考をつい使ってしまう生き物だと認識することが、まず大切なのです。

その意識さえあれば、自分が何かを決断するときに「直感に頼ってしまっていないか」「自分が考えている論理は客観的に見ても本当に正しいのか」を改めて見直すことができます。

スロー思考を使うために大切なこと②【いつファスト思考に頼るか理解する】

私たちがいつファスト思考に頼ってしまうのかを知ることによって、注意するべき時はいつなのかを知ることができるのです。

私たちがファスト思考に頼りがちになるときは、大きく分けると以下の3つです。

  1. モチベーションが低いとき
  2. 自分の知識が足りていないとき
  3. 感情的になっているとき

ファスト思考に頼るとき①【モチベーションが低いとき】

モチベーションが低いときは、その物事に対して真剣に考えようとしていなかったり、真剣に考える体力がなかったりする場合を指します。

例えば仕事から疲れて帰ってきたときに、妻から「子供はどの塾に通わせたらいい?」と相談を受けたとします。

仕事で疲れているあなたの頭では、1から塾の情報を調べて比較検討する体力など残っていないために、CMが良かったとかパンフレットのデザインが綺麗だったという直感的な基準で塾を選びがちになってしまいます。

これが「モチベーションが低いとき」にファスト思考に頼りがちになる例です。

ファスト思考に頼るとき②【自分の知識が足りていないとき】

これはセミナーなどでよくをあることで、例えば不動産投資セミナーに行った際に、自分自身に不動産投資の経験がないとセミナーの内容がよく理解できない場合があります。

通常であれば「よく理解できない投資に手を出すべきではない」と合理的な判断を下せます。

しかしファスト思考に頼っていると「話している人の堂々とした立ち振舞」や「自分が知らない知識を持っていることに対する尊敬」、「理解できるように書かれたメリットの部分だけを拡大解釈して、複雑に書かれたデメリットを読み飛ばすこと」によって騙されてしまうのです。

このようにあなたを騙しに来る人は、あなたにわざとファスト思考を使わせようと複雑な説明をあえてすることがあります。

ファスト思考に頼りがちになるとき③【感情を揺さぶられたとき】

あくまで例え話として聞いてほしいんですが、日本人が中国人に劣っているという研究結果が発表されたとしましょう。

その際、愛国心が強い人は激しく感情が揺さぶられて、この研究結果を受け入れることができません。

この研究結果が統計的な事実だとしても「私の日本人の友人はこんなに優秀なんだよ」と1人が賢いことを日本人全体が賢い形に拡大解釈して意見を述べたり、「この情報自体が作られたものだ」と思い込もうとします。

そして研究結果を否定したいがあまりに、ネットや本で「日本人が優秀だ」というデータを調べて自分自身を安心させようとします。

しかし研究結果を否定する前提で情報を集めている限り「確証バイアス」と呼ばれる自分が信じている情報を集めやすくなる人間の性質によって、日本人が優秀だというデータを集めやすくなっているので、集めたデータは偏りのあるデータになってしまいます。

ファスト思考の参考図書

ここまでファスト思考のデメリットを見てきましたが、これ以外にもファスト思考を使ってしまう場面は多く存在します。ファスト思考を詳しく知りたい方はダニエル・カーネマン著「ファスト&スロー」を参考にして下さい。

ファスト思考のメリット

ここまでファスト思考のデメリットを中心に解説しましたが、ファスト思考は私たちが生きていく上でなくてはならないものなのです。

そもそもファスト思考を使った直感的な判断は大体において適切な判断であり、常にスロー思考を使っていては何をするにも時間がかかってしまいます。

直感を信じることは時にとても大切なことであり、そして日常的に私たちが行っていることでもあります。

だからこそ全ての問題をスロー思考で論理的に考えるのではなく、ファスト思考で考えた際に陥りがちなミスを事前に知ることによって、そのミスを避けるこれが大切です。

終わりに

詐欺だけでなくマーケティングの世界においてもファスト思考が狙われており、本当は要らないものを買わされることがよくあります。

だからこそ自分が商売をやらないからといって、マーケティングやセールスライティングを学ばないことは損をしています。

マーケティングやセールスライティングを学ぶことによって、あなたが欲しい商品の本当の価値が見えてきます。

今「この商品を買いたい」と思っているのはあなた自身の意思なのか、それともマーケティングの手法によって錯覚させられているものなのか、そこをしっかりと認識できるようにマーケティングの知識も学んでいただきたいと思います。

今回ご紹介した「バカが多いのには理由がある」ですが、本書では人間の思考の偏りがどういった形で現実に現れるのかを、政治・経済・社会・心理の4章に分けて解説してあります。

1つ1つが短編のコラムのように独立していますので、時間がないときにパラパラと興味のある場所だけ読むという形でも楽しめる本になっています。

是非興味のある方は、お手にとって読んでみてください

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