なぜ世界はこんなにも不愉快なのか…橘玲「不愉快なことには理由がある」を要約してみた

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第1章 モテ期はなぜやってくるのか?

モテ期がなぜやってくるのか世間ではよく分からないけれど、急にモテ始める『モテ期』なるものがあると言われています。

多くの人は「そんなもの科学的ではないよ、たまたまでしょ」と切り捨ててしまいますが、今回はモテ期はなぜやってくるのかを『進化論』で検証してみたいと思います。

そもそも「モテたい」というのは人類に共通する望みだと言えるでしょう。それは私たちが『子孫を残すべきである』という遺伝子を持っているからです。

モテれば当然多くの生殖の機会が得られますから、自分の遺伝子を後世に残せる確率は高まります。

モテたいというのは俗物的な煩悩だと言われがちですが、その欲望は私たちのDNAという逃れられないものから生まれているわけです。

実際どうすればモテるのかを多くの人が知りたがっており、書店には「どうすればモテるか」を指南したん恋愛ハウツー本があふれています。

その中身は様々ですが、多くはモテるファッションや会話術、デートスポットやラブホの誘い方など、個人的な努力について書かれています。

これらの本が多くあることから、いかに私たちがモテることに感心を持っているのかが分かるでしょう。

ところで恋愛には相手が必要ですよね?この世のすべての恋愛術をマスターしたとしても、相手がいなければ宝の持ち腐れです。

「何を当たり前のことを」と思うかもしれませんがこれは奥のの深い問題で、モテるために大事なことはファッションセンスやしゃれた会話ではなく、どれだけ異性と知り合える機会を持っているか、つまり社会的ネットワークの中で自分がどの場所にいるかによって決まってしまうかもしれないのです。

アメリカでは恋愛行動と性行動について、大規模な社会調査が行われています。

それによると「知り合いの紹介」で配偶者やセックスパートナーと出会った人は約7割で、「自力」で出会った人は3割程度しかいません。

「知り合いの紹介」でもっとも多いのは友人の紹介で35〜40%にもになります。次に多いのは家族による紹介の15%です。

ほとんどの人は緩やかな友達ネットワークの中で、彼女や彼氏を見つけているのです。

恋愛でなぜ紹介が有効なのかは、簡単に説明できます。

バーや道端、電車の中で会った異性のことを、あなたは何も知りません。当然、相手もあなたのことを知りません。

そんな2人が何かのきっかけで付き合い始めて長続きするかどうかは、まさに神のみぞ知るです。

ところがあなたの親友の彼女が自分の友達をあなたに紹介する場合、2人のことをよく知っていてお似合いのカップルだと思っています。

自分のことは自分ではよく分かりません。だったら自分たちのことを知っている他人に任せてしまった方が、うまくいく可能性が高いのです。

私たちは自分のことが自分で一番わかっていると思っているのですが、実はこれは間違いだと判明しています。

多くの調査で自分で恋人と長続きするかどうかを予測するより、第三者があなたと恋人が長続きするかどうかを予測した方が当たる確率が高いと分かっているのです。

だから第三者に「あなたとお似合いのカップルになるよ」と言われて紹介された人の方が上手くいく確率が高いのです。

では話を元に戻しましょう。集団の中での恋愛行動は、社会心理学の重要なテーマです。

その研究によると人は絶対的な価値、例えばキムタクと比べて8割イケてるということよりも、所属する集団の中での相対的な地位を気にします。

チンパンジーはアルファーオスを筆頭に、集団内で序列を作ります。これは友達集団も同じで、アルファーオスすなわち男の子のリーダーは、アルファーメスすなわち女の子のリーダーとごく自然にカップルとなります。

一夫一婦制では集団内の序列を上げることが、より良い異性を獲得する鉄板の戦略です。

恋愛戦略の違いで男と女のすれ違いも説明できます。様々な調査で女性は魅力的な女性と付き合っている男性に惹かれることが知られています。

これはモテることがその男性の繁殖能力の高さの社会的な証明になっているからです。

何かの偶然で素敵な彼女ができると、それと同時にモテ期がやっていくるのです。

よく「結婚している男性はモテるよ」と言われますよね。それは女性の脳からすると、結婚している人は過去にこの人に一生をささげたいと思った女性がいたことの証明だからです。

すでに1人の女性から優れた男として認められた実績があるためです。既婚と分かれば彼の資質を細かくチェックする必要もないのです。

ちなみに男性は、モテる女性を避ける傾向にあります。

競争相手が多いとそれだけ繁殖可能性が下がってしまうのですから、これも進化論的に合理的な行動なのです。

第1章まとめ

  • 男性のモテ期がやってくるのは、魅力的な女性と付き合っているときや結婚しているときである。
  • 魅力的な女性と付き合っていることは、その男性の繁殖能力の高さの社会的な証明にとなる。
  • 結婚していることは、過去にこの人に一生を捧げてもいいと思った女性がいた証明となり、すでに1人の女性から優れた男として認められた実績があることを意味している。
  • 男性はモテる女性を避ける傾向がある。競争相手が多いとそれだけ繁殖可能性が下がるという、進化論的に合理的な理由があるためである。

第2章 恋人が死ぬより、長時間通勤の方が不幸なのか?

恋人または配偶者が突然死んだとしたら、心の痛みは最初の年で約3800万円となる。

こんなことを大まじめに研究している科学があるとしたら、誰だってばからしいと思うでしょう。

でも幸福の計算はれっきとした経済学の一分野で、それ以外にも様々な人生のイベントに値段がつけられています。

例えば独身の人が結婚したとすると、その直後の喜びは43万円の宝くじに当たったのと同じです。

最初の子供が生まれるのは、31万円を道で拾った喜びに相当します。

結婚や子供を持つことは、私たちをそれほど幸福にはしてくれないのです。

この研究結果がイギリスで発表されたときにはものすごい反発がありましたが、結婚で失ってしまった自由や子育ての大変さを前にして、密かに納得した人も多いのではないでしょうか。

結婚した直後でも43万円の宝くじに当たったのと同じレベルで、最初の子どもが生まれた時でも31万円を道で拾ったときの喜びにしか相当しないわけですから、結婚や子供を持つことはそれほど人を幸福にはしないのです。

現在では、私たちの心が幸福にも不幸にもすぐに慣れてしまうことが分かっています。

例えばある研究では、宝くじに当たった人と交通事故で下半身麻痺になった人の人生の満足度を比較しています。

当然それぞれの幸福度には大きな差があると思いますよね。どう見たって片方は天国、片方は地獄です。

しかし結果は驚くべきものでした。その結果は宝くじに当たっても対して幸福にはなれず、下半身まひの人と比べても大きな差はないというものでした。

幸福とは主観的なもので、交通事故で障害を負った人は「生命が助かっただけでも運がいい。あんな事故に巻き込まれて命があるだけ運がいい」と前向きに考えるようになるのです。

恋人や配偶者と死別すれば、誰もが大きな精神的ショックを受けます。しかしその後の彼らを追跡調査すると、男性では4年、女性では2年で人生の満足度は元に戻ります。

離婚はもっとはっきりしていて、最初のうちは傷つくのですが数年のうちに以前よりも幸福になってしまいます。

なぜこんなことが起こるのかというと、脳にはネガティブな出来事をポジティブに考える癖があるからです。

これが『レジリエンス』と言われる能力で、人が生まれながらに持っているすごい能力です。

レジリエンスがあるからこそ、不幸を乗り越えて私達は前に進んでいくことができるのです。

しかしその一方で、このレジリエンスが幸福になりにくい理由もなっているのです。

レジリエンスがあるから失敗したり恋人と死別したりしても、私たちの幸福度は元に戻るのですが、逆に宝くじに当たったときなどに幸福度が急激に上昇したとしても、だんだん幸福感は減っていってやがて元の幸福の水準に戻ってしまうのです。

要するにレジリエンスというのは、不幸にも幸福にも何に慣れちゃって元の幸福の水準に戻る脳の仕組みのことです。

人はそれぞれ幸福の水準を持っていて、それはおそらく何があっても変わりません。

この幸福の水準は、おそらく遺伝的に決まっていると考えられています。不幸なことがあったとしても幸福なことがあったとしてもいずれ慣れてしまい、もともと持っている幸福の水準に戻ったしまうのです。

私達は不幸であろうが幸福であろうが、やがてその状態に慣れて一定のラインの幸福度まで戻ってしまうことをポジティブに考えるとどうなるでしょうか。

それは確かに幸福にはなりにくいのだけれども、今すぐ幸福になろうと必死にならないてもいいということです。

失敗しようが恋人と別れようが、その直後は幸福度は下がってしまいますが結局、また元のラインへと戻ってくる。それが人間の脳の仕組みなのです。

ですからあなたが何か辛いことがあったときは落ち込むでしょうが、いずれまた幸福度は元通りになるなのだと思い出してもらって、その辛い時間だけは何とか耐えてほしいと思います。

よく時間が心の傷を癒やしてくれるといいますが、それは時間が経てばレジリエンスによって幸福度が元通りに戻るという意味だったのです。

このことを理解した上で紹介したい面白い研究があります。

ある研究では死別のような一度限りの出来事よりも、持続する苦痛の方が幸福度を引き下げることがわかっているのです。

このことから分かるのは、毎日の長時間通勤は恋人の死よりもずっと人生を不幸にすることです。

それは一度限りの辛い経験よりも、持続する苦痛の方が幸福度を引き下げてしまうからです。

第2章まとめ

  • 私たちの心は生まれつき持っているレジリエンスという能力によって、幸福にも不幸にもすぐに慣れてしまうことが分かっている。
  • レジリエンスは不幸にも幸福にもすぐに慣れてしまい元の水準に戻る脳の仕組みのことである。
  • レジリエンスがあるからこそ、宝くじに当たっても大して幸福にはなれず、下半身麻痺の人と比べても大きな幸福度の差がない。
  • 死別のような一度限りの辛い出来事よりも、持続する苦痛の方が幸福度を引き下げることが分かっている。つまり毎日の長時間通勤は、恋人の死よりもずっと人生を不幸にする。

第3章 ダイエットに成功すると仕事に失敗するのか?

ここでは私たちが成功ために欠かせない『自己コントロール能力』を深堀りしていきましょう。

『クッキーと大根』というちょっと意地悪な実験があります。

同じ部屋に焼かれたばかりの美味しそうなチョコチップクッキーの皿と、千切りにした大根の皿が置いてあります。

味覚の記憶についての研究に協力を申し出た大学生を2つのグループに分け、半数はクッキーを、残りの半数には大根を食べるように指示します。

クッキーはすごくいい匂いがしているので「貧乏くじを引いたなぁ」と学生はそれを横目で見ながら、まずい大根をかじらないければなりません。

研究者はわざと部屋から出て行きその気になればつまみ食いもできるのですが、研究のためと言われているので我慢せざるを得ません。

次にこの大学生たちに、一筆書で複雑な図形を書くというパズルをしてもらいます。

このパズルはどうやっても解けないように作ってあるのですが、学生たちはそんなことは知らないのであれこれ試行錯誤しながら必死に取り組みます。

実はこの実験では学生たちに「味覚の記憶についての研究だ」と言っていたのですが、実はクッキーを食べた学生と大根で我慢した学生との間で、集中力にどのような違いがあるかを調べるものでした。

その結果は驚くべきものでした。クッキーを食べた学生は平均してパズルに20分を費やし、34回の試行錯誤を繰り返しました。

それに対して大根を食べた学生はわずか8分で諦めてしまい、試行錯誤の回数は19回でした。

要するにクッキー組に対して大根組は、半分しか集中が続かなかったのです。

なぜこんな不思議なことが起きるのでしょうか?それは自己コントロール能力が『消耗品』だからです。

自己コントロール能力は有限なので、使ってしまえば消耗してしまうのです。

大根組の学生はクッキーを食べたいという欲望を、意志の力で抑制しなければなりませんでした。それによって自己コントロール能力を使い果たし、パズルに集中できなかったのです。

このことから分かるのは、ダイエットや禁煙が困難なことはよく知られていますが、この実験結果はより深刻な問題を提起します。

超人的な意志力を発揮してダイエットや禁煙に成功したとしても、そのために自己コントロール力を失って他のことがちゃんとできないかもしれないのです。

身だしなみにすごく気を使うできる男が、いざとなると役に立たないことはよくあります。その反対に普段はだらしないのに、仕事や勉強に異常な集中力を見せる人もいます。

これも自己コントロール能力という有限な資源を、どう分配しているかで説明できるかもしれません。

マーク・ザッカーバーグやスティーブ・ジョブズといった世界的な成功者は、このことをしっかりと知っています。彼らはいつも同じ服を着ているのです。

それは「今日はどの服を着ようかな」と迷うことをなくすためで、意志力を節約しているわけです。

つまりクッキーと大根の実験は、無意識を意識的に抑制することがいかに難しいかを明らかにしたんです。

努力だけでは人は変われません。だったらどうすればいいのでしょうか?

最も簡単で確実な答えは『環境を変えること』です。

意志力とか自己コントロール能力を使わなくても済む環境に身を置くことです。

ホリエモンこと堀江貴文氏は、収監されて1年経たないうちに20キロ以上の減量に成功したといいます。ダイエットのために刑務所に入る人はいませんが、無理な自己コントロールを続けるよりも外部コントロールを利用した方が効果が高いことは間違いありません。

私たちが人生で成功するために必要な力は、習慣を上手に身につける力だということに反論する人はいないでしょう。

そしてこの習慣を身につけるために有効なテクニックが、意志力とか自己コントロール能力を使わなくても済む環境を設計することです。

例えばあなたがプログラミングを勉強したいと思っても、仕事が終わってから家で1人でプログラミングを勉強するのは難しいでしょう。

しかし仕事の後にお金を払ってブログラミングスクールの予約を入れてしまえば、私たちは行かざるを得ません。

すでにお金を払っていて予約もしているので、行かないと相手に迷惑がかかってしまうため、行かざるを得ないのです。

家に帰って1人で「プログラミングしようかな、どうおかなぁ」と迷わなくても済むのです。迷わなくても強制的にやらざるを得ない環境、つまり意志力を使わなくても済む環境を設定することによって、習慣化しやすくなるのです。

先ほども説明したように、意志力と自己コントロール能力は消耗品ですから、これらをいかに無駄なことに使わないようにして、本当に自分がやらなければいけないことに集中的に使えるかどうかが非常に重要な問題です。

ダイエットに意志力を使いすぎるあまり、仕事に使う意志力が残っていないと仕事で失敗してしまう羽目になるのです。

意志力はダイエットだろうが仕事だろうが人間関係の揉め事だろうが、すべてのことで消費されます。

ダイエットと仕事は分野が違いますが、それぞれ別の意志力がある訳ではないのです。

あなたの意志力は、ダイエットだろうが仕事だろうがなんであれ、意志力を使わなければならない場面に遭遇すると消費されてしまうのです。

第3章まとめ

  • 自己コントロール能力は有限なので、使ってしまえば消耗する。
  • 無理な自己コントロールを続けるより、外部コントロールを利用したほうがずっと効果が高い。
  • 身につけたい習慣や成し遂げたい目標があるならば、意志力に頼らなくても済むような環境を設計しよう。

終わりに

今回は第1章で「モテ期はなぜやってくるのか?」、第2章で「恋人が死ぬより長時間通勤の方が不幸なのか?」、第3章で「ダイエットに成功すると仕事に失敗するのか?」について解説してきました。

さて皆様いかがでしたか?とても興味深い内容でしたね。

最後にもう1つだけ面白いテーマに簡単に触れて終わりにしたいとを思います。

そのテーマとは「男女で幸福の優先順位が違う」というものです。

日本ではもちろんのこと欧米でも女性の平均収入は男性より低く、女性が組織のトップの座を占めている割合も少ないですが、先進国で男女の満足度を比べると、いつの時代でも女性の方が一貫して満足度が高いことが知られています。

その一方でイギリスの2万5000人の女性公務員を対象にした調査によれば、90年代前半以降、女性の仕事に対する満足度が下がっていますが、男性の満足度はほぼ変わっていません。

女性が男性と異なる職業選択をしていたときには、女性は男性より幸福度が高かったのです。

つまり男女同権で女性の社会進出が進んだことによって、人生の満足度も男性と同じレベルまでさなってしまったのです。

この奇妙な現象には、様々な仮説があります。

その1つに、たとえ高学歴でも女性は男性に比べて自信を持つことが苦手である点があります。

MBAを目指すアメリカの一流大学の学生を対象に、会社で給与の査定を受ける模擬実験をすると、昇給の交渉をする女性は男性の4分の1しかおらず、たとえ交渉したとしてもその額は男性よりも30%低かったのです。

またイギリスのビジネススクールで「卒業から5年後の自分にふさわしい収入はいくらだ」と聞くと、男性の平均が960万円に対し、女性は770万円しかありませんでした。

学歴社会の頂点にいる女性たちですら、自分の価値を男性よりも20%も低く見積もっているのです。

この自信のなさはこれまで家庭や学校での性差別的な教育のせいだと言われてきましたが、今では遺伝子の影響が疑われています。

神経伝達物質のセロトニンが不足すると、不安感が強まりうつ病のリスクが高くなります。

セロトニンを運ぶ遺伝子は、2つの短い遺伝子からなるSS型、短いものと長いものが1本ずつのSL型、長い遺伝子が2本のLL型があり、遺伝子が長いとセロトニンの輸送効率が高いです。

社会構造が人に極めて近いアカゲザルでは、LL型の遺伝子を持つサルは積極的なリスクを取るリーダータイプに成長し、SS型のサルは不安定で親にべったりとくっついています。

遺伝子の型によって自信の差は大きく変わるのです。

セロトニントランスポーター遺伝子の分布が男女で異なることはありませんが、SS型の遺伝子を持つ女性は男性に比べて脳内のセロトニン濃度が52%も少ないことが分かっています。

心配性の変異体を持つ女性は極めて強い不安感を抱えており、こうした女性にとって組織の中での出世競争は苦痛以外の何ものでもないでしょう。

このように最新の遺伝学や脳科学の知見では、男と女では生まれつき幸福の優先順位が異なることが示唆されています。

男性は競争に勝つことに満足を感じるが、女性は家庭と切り離されると人生の満足度が大きく下がってしまうのです。

男女では生まれつき幸福の優先順位が異なることが、男女が分かり合えない理由の1つになっているのです。

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